グレイヘアをもっと好きになる。デジタルパーマのすすめ
晴天の続く5月の初旬に、ふいに訪れた雨の日。
お客様がヘアチェンジにお越しくださいました。
グレイヘアが印象的な前田朋代さん。お仕事をリタイヤし、趣味の陶芸や洋裁、海外旅行を楽しんでいらっしゃいます。
グレイヘアのご友人のすすめがきっかけで、白髪染めを止めたそうです。美容師の私が初めてお会いしたのは4年前、既に美しいグレイヘアでいらっしゃいました。
今回のカウンセリングでは、年齢と共に髪くせやうねりが強くなったこと、そして乾燥によるパサつきで、扱い方に困っているとのことでした。普段はオイルをたっぷりつけて、ボリュームを抑えるようにスタイリングしているご様子です。
年齢を重ねて痩せた体型に合わせて、ボリュームを活かしたヘアスタイルがバランスが良いと確信。広がりやすい髪質のコンプレックスを活かし、パーマをかける事をご提案しました。
長く伸びきった髪をリフレッシュするように、ボブヘアにカット。
鏡越しに輪郭や顔のパーツを見ながら、リップラインにヘアスタイルのウェイト(重心)を置き、レザーで柔らかなボブのラインを描きます。
丁寧にコーミングを重ねて、フォルムを整えながらデザインを進めていきます。
パーマの種類はデジタルパーマを選択。くせ毛との相性が良く、キューティクルを整えながら艶とまとまりのあるカールを作るのに適しています。
それぞれの毛束を頭皮に対して適切な角度で引き出し、毛先から巻き上げることで、くせを活かした立体感のあるカールが作られます。
シャンプー台でお流し後、ドライヤーの風を拡散させるディフューザーというアイテム使い、パーマヘアをスタイリングします。
▲ Side & Back
リップラインにウェイトを置いたボブのフォルムと、くせ毛の延長線上にデザインされたカールで、洗練された印象に。
人は年齢を重ねる程に、輪郭、顔のパーツ、体型など、重心が下がる傾向にあります。一人一人の骨格やお好みのファッションに合うプロポーションを見極めるのが美容師、デザイナーとしての仕事です。
特にエイジングにおいて、細やかなメンテナンスは必要だと考えます。盆栽の剪定のように、こまめに枝葉や形を整えることで、素材に本来備わっている美しさが現れます。
それはまるで、鏡に映る自分にポジティブな感情を感じられるような。
それが機械による大量生産品では生み出せない、人の手によるオーダーメイドのデザインの力だと確信しています。
上着として羽織っていらっしゃるブルーのコートは前田さんのお手製の物。
年齢と共に刻まれたシワと、真珠の輝きのコントラストが、グレイヘアの魅力を一層引き立てます。
過去の若かりし頃の毛質や、ヘアスタイルを追い求めるよりも、金継ぎのように、個性を活かした美しさを求めていくことが、人生に彩りを与るのではないでしょうか。
坂元千夏
2010年、東京・表参道にて美容師のキャリアをスタート。2024年よりサロンの拠点を銀座に移し、ヘアサロン「CHINATSU SAKAMOTO」をオープン。
サロンワークを中心に、撮影やメディア出演など幅広く活動。「クロワッサン」「ku:nel (クウネル)」(マガジンハウス)、「ハルメク」(ハルメク)、NHK「あさイチ」など、大人世代向けのメディアから多くの支持を受ける。
年齢を重ねた髪の魅力を活かしたパーマデザインを得意とし、ミドル・シニア世代の美をサポート。
世界を旅して得た美的感覚と日本の職人技術を生かした、上質なヘアデザインが評価されている。
Website https://www.chinatsusakamoto.com/
Instagram @chinatsu.hairdresser
Hair Salon CHINATSU SAKAMOTO
〒104-0061 東京都中央区銀座5-12-6 CURAGINZA7F meby RoomB
「東銀座駅」A1出口より徒歩1分 / 「銀座駅」A1・A2出口方面、地下通路にて東銀座駅直結
月/火/水 定休日 木/金/土/日 10:00-19:00