灯り
12月に入りようやく冬の寒さを感じるようになりました。
今年の春に美容師として独立した事に始まり、夏のサロンの立ち上げや新しく頂いたお仕事のオファーに応える為に、達成する日々を過ごしてきましたが、冬はクールダウン。ずっとサロンの為に費やしていたエネルギーを少し住まいの方に向ける事にしました。
こちらは故人の彫刻家イサム・ノグチによるAkariという作品です。
2021年に東京都美術館で開催されていた展覧会をきっかけに、2022年に休暇で訪れていた香川県で偶然アトリエを発見し、予約者限定のガイドツアーに参加しました。
ふと彼の作品を思い出し、手に入れられる場所は無いかとインターネットで調べたところ、現在も岐阜県の職人さんが彼の意志を継ぎAkariが生産されているとの事。東京にも営業所があるとの事で人形町に出向きましたが、既に全商品SOLD OUT。
偶然にも入荷日がすぐだったのでオープン時間に合わせてお店に出向きましたが、既に長蛇の列。予定もあったので、泣く泣く諦め、一か月後にリベンジしました。
オープンに1時間の到着を目指して、冬の寒空の下で2時間半待ち。そして幸運にも最後の1点を手に入れました。
和紙を通した光が部屋を優しく照らします。
他の電気は点けず、ぼんやりとした灯りの下、読書をしたり、音楽を聴いて過ごしています。
昨年旅したヨーロッパや、ヨーロッパ出身の友人宅にお邪魔すると、部屋が薄明りだという事に気が付きます。
それとは対照に東京の照明はピカピカに明るい。日本というよりは、アジアの文化なのでしょうか。
ヨーロッパはピカピカの照明やエアコンが無い代わりに暮らしを心地良くするインテリアなどのアイディアが豊富で、アジアは便利で実用的な住まいの造りになっているように分析しています。
狩猟→農耕→工業→インターネットを経て物理的なインフラは整った現代。これからはこころの時代だと感じています。
心を満たす技術を身に着ける事が、人生を豊かにする。
それはもしかしたらこれまでの時代を生きてきた先人達ですら知らないのかもしれません。
坂元千夏