ルイジアナ近代美術館で過ごす豊かな時間

立秋を迎え、暦上では秋の始まりとなりました。

朝晩の熱気は落ち着いたようにも感じますが、日中の暑さはまだまだ続きそうです。

話は遡り約二カ月前、ヨーロッパの旅はデンマーク、コペンハーゲンから始まりました。

きっかけは世界幸福度ランキング上位を占めている北欧の国々の人々の暮らしを見たいという好奇心からです。

予約していたフィンエアーはストライキによりフライトキャンセルのハプニングがありながらも、替わりににポーランド航空、ワルシャワ経由でコペンハーゲンに降り立ちました。

目的の一つはコペンハーゲン郊外にある、現代美術館「ルイジアナ近代美術館」。

市内から鉄道で一時間程、海を挟んだ対岸にかすかにスウェーデンの景色が見える丘の上に位置します。

六月半ばのデンマークの日の入りは午後十時ごろ、ルイジアナ美術館も平日は午後十時までオープンしています。

展示の多くは抽象的なモダンアートが中心でしたが、中にはシリア難民や中東戦争に関する社会的メッセージ性のある作品も存在し、芸術を通して問題提起するアーティストやキュレーターの姿勢が知的に感じられました。

東京在住の私の感覚ではルイジアナ美術館始め、欧州の美術館の広さは東京の二、三倍かそれ以上。

物理的にも、精神的にも、半日以上は十分に楽しめる敷地の広さがあります。

作品鑑賞をする人はもちろんのこと、各所に設置してあるベンチに座ってただただぼーっと景色を眺める人、草むらに寝転がる人、多様で豊かな時間が流れていました。

あまりにも充足感に満たされ、コペハーゲン滞在中に二回も訪れた程。

世界でお気に入りの美術館の一つとなりました。

こちらはルイジアナ美術館来訪の初日にあまりにも張り切って開館一時間前に到着し、駅の最寄りのカフェでの朝食のひととき。朝から地元の人達で賑わっていました。

異国の地で現地の人々が語らい、ユーモアを交える様子やリアクションを見るだけで、文化は違えど人間として同じ感情があることを感じて、幸せな気持ちになりました。


坂元 千夏

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